「ま、いっか。」でありのままの自分を受け入れる - 本のメモ - 平常心のレッスン

平常心のレッスン (朝日新書)

平常心のレッスン (朝日新書)

「絶対に失敗しない」という頑なさは、壊れやすく、脆いものです。
失敗は、する。けれども失敗に動じず、揺るがず、愉快に生きてまいりましょう。
「ま。いっか」の精神で。

この本のメッセージはこの引用文に集約されている。
プライドを捨て、あるがままを受け入れられた時、人は苦痛から逃れられるのだ、と。

現代人は、プライドが高すぎる。
個性的教育によって、人びとは他人と異なることはいいことであるというふうに洗脳されてきた。
しかし、現実的に人というのはその能力に大差などない。
よって、人びとはファッションや趣味などによってせっせと人と違うことをしよう、人と差別化しようと躍起になっている。
これが不幸のはじめまりなのである。

自分にも覚えがある。
大学に入学し、自分の凡庸さに愕然とした。
勉強も普通、スポーツもできない。洒落た趣味も持っていない。
こんな状態では自分に自信を持つことができない、人と比べて優位なものがないと生きている意味が無いのではないか。
それで必死に勉強し、課外活動にも参加し、他の人がやらないようなことを手当たり次第こなってみたが、
そこで得られたものは安心などではなく、さらに上のモノに対する嫉妬と恐怖だけだった。

しかし、筆者は’平常心’を通じてこのような’苦痛’から脱却するための方法を提示してくれている。
執着を捨て、こだわりをなくし、あるがままの自分を受け入れることから始めてみよう。


以下、学びの大きかった箇所をいくつか引用させていただく。

執着とは、特定の反応様式へと心がパターン化すること。

執着していることを、褒められる -> 快楽 -> もっとほめられたい
執着していることを、けなされる -> 苦痛 -> 激しく傷付き、落ち込む

快楽には副作用としての苦痛がつきまとう

プライド=慢の根源的な意味は「比較する」

心の浮き沈みを、「いまは過去からのカルマに基づいてこうなっているけれど、やがて必ず変化するのだから気にしても意味ないよね」と冷静に受容する。

周りの状況をいい、悪いで判断せず、そのようである、とだけ捉える。

支配欲の根底は愛されたい、愛して欲しい、という自己愛。

言葉と心の中の気持ちが分裂していると、当然そこに軋轢、葛藤が生じる。
自分の中で相反することがぶつかって、ストレスが溜まっていく。
自分の心に反することを言い続けることは、気づかないうちに心にダメージを与えて、自分自身を損なう不自然な行為である。

周りの人の慢につけ込んだ無理な人間関係ではなく、少数でも信頼関係に裏打ちされたきちんとした人間関係を築いていく。
それこそが本当の財産になりますし、そういう人間関係を少しずつ築いていけば、その先に不相応な成功が手に入るはずです。
それは、リラックスして、平静で、安定した平常心の幸せといえるものです。

不快を感じる状況に打たれ強くなるだけでなく、快を求めなさいという欲望に基づく命令に対しても、
まあ、いいかなとしばらくほうっておくことが出来れば、心理的には楽な気持ちになることができ、
神経レベルではセロトニンという、安らぎと覚醒を司る神経伝達物質の分泌が高じて、安らぐ。

ショートカットが進めば進むほど、 欲 -> 快 -> 慣れ -> 不満足 -> さらに強い欲 と連鎖するため、心が荒む。
つまり、まあ、いっかという受容が難しくなる。

単純な作業を繰り返すうちに、目的意識から離れて、ただひたすら黙々と鍬を振るうようになる。
そして、ただ純粋に、活動を反復して「いま」に専念することがつづくと、「楽」の心理的機能が高まってくる。

瞑想の方法
姿勢は緊張せず、肩の力を落とす。
ただし脱力してダラっとしてはダメ。
背筋はある程度のばし、緊張せずリラックスした、自然な姿勢をとる。
目は開いていても閉じていても良いが寝てはダメ。開けておくなら半眼でで鼻先に視線をおとす。

リラックスした状態で、呼吸に意識を結びつける。
呼吸に空気の流れを感じ取るように心がける。
吸い込んだ空気が鼻の中を通過する感じ。その空気が肺にまで到達する感覚。
そして、肺のなかから押し戻された空気が、また鼻を通って外に押し出される感じ。
呼吸と共に、腹部を拡張したり収縮したりする感覚。
呼吸している今この瞬間をしっかり味わうことで、呼吸に意識を結びつける。
なるべく思念や邪念は消す。
最初は3割くらいニュートラルな息の感覚を感じていれば良い。

瞑想は自分の心を見つめる作業。
最初は呼吸に意識を結びつけるのが精一杯でも、そのうち自分というものが徐々に見えてくる。
瞑想することによって自分の心のなかに溜まったゴミが見えてくるようになる。
ところが、心が乱れた状態で瞑想するということは、ゴミが空気中に舞い上がった状態で始めるようなものなので、
ゴミの姿がよく見えない。

瞑想で大事な3つのこと。
1.自分の心の状態に、ありありと気づいている
2.そして、それに集中している(その他のことは一切認識していない)
3.さらに、それに対して冷静である(平常心)

気づいて、集中して、だけれどもそれに対して平常心で臨む。