- 本のメモ - 自分を愛することから始めよう

自分を愛することから始めよう―あなたはあなたのままでいい

自分を愛することから始めよう―あなたはあなたのままでいい

まず、恋って結局なんなの?という問に対して、本書では下記のような回答が用意されている。

恋に、代役は務まりません。

恋とは、自分が自分として生まれてきたことに素直に喜べることであり、
これまで体験した、どんなマイナスをも、
許し愛される、という絶対的な喜びを体験することなのです。

絶対的、というのがミソである。
すなわち、恋に比較は必要なく、その意味で誰もが一番を目指すことのできる種目なのである。
それも、その恋というものは本能的で、種の保存、発展に根ざしたものであるがゆえに、
誰もが強く求め、またそれを得られた時幸せを感じることができるものなのである。


しかし、様々な人が出場する種目なだけに数々の困難も見つかっている。
例えば、下記のような人間関係に根ざした問題などである。
幾つか引用を交えて取り上げておく。

自分が不安な人は、相手から求められてそれに応じてしまう。
そして、「自分はこんなにもモテる」と感じ満足する。
しかし、求められたことによって自分が重要視されていると安心するのは、
人の愛を道具として扱っているにすぎず、
その安心を保持するために些細な不安を見つけてはそれに対応するという心休まらない苦しい恋になる。
結果、抜け目のない警戒心に満ちた関係に終始することにもなりかねない。

人前でポーズを取れば取るほど、自分への無力感も高めるし、
際限ないポーズをとり続けなければならない悪循環に陥る。

ある人を失いたくないために、
自分を曲げるということは、
その人に対して、自分の存在がまったく意味をもたないと言っているのを同じことなのです。

これは刺さる。恋愛というものが2人によってオリジナルな世界を築いていくこととするならば、
一方が自分を曲げて相手に合わせるということは、1人分のバリューしか発揮できないこととなり、
新しい価値を生み出すことができないということである。

「異様なほどの強い憧れや、絶対的すぎる信頼を。誰かにおいていないか」

異様に強いあこがれは、自分が相手に依存し、甘え、自立心を否定することでもあります。
その結果、「自分が尊敬する人はこうであらねばならない」と規定することにつながり、
自分にとっても相手にとっても、不幸な人間関係にならざるを得なくなるでしょう。

この箇所、非常に共感できる。
求めることで幸せになるか、その答えはおそらくノーである。
恋愛に限らず、色眼鏡で人を見てしまうことは日常茶飯事の事のように思われる。
例えば、私はこのほど実家に帰ったのであるが、その際久々にTV番組を見てそのことを実感した。
人々はアイドルに’こうであって欲しい’という強い憧れからくる願望をぶつけており、彼らがそれに応えていたのである。
アイドルの仕事とはかくも大変なものなのか、と心のなかで彼らに敬意を評した。

他人に対して上下の印象を抱き、その印象によって言動が左右されていないか。

というのがチェックポイントとなっていて、
レベルの低い人々に対して、
優越感によって近づこうとする人は、ほとんど例外なく、対人恐怖的心理を持っているそうだ。
このような人の場合、
他の人に対しては異常に緊張してしまうらしい。

このような人は、大体空いてが持っているものに、怖れを抱いているにすぎない。
よって、相手個人、自分のみに根ざした特徴や個性、感じ方で話題をもつようにすることで緊張から自由になれる。

「自分に近い重要な人を、自分好みに変えようとしていないか」

これを積み重なると、お互いのふれあいを遠ざける働きしかもたらさなくなってしまう。
自分をしっかりもち、相手を尊重することで新鮮な関係をいつまでも続けることができるようになる。

個人的に思うこととしては、
人に強要してしまったり、願望をぶつけてみたりして、相手に息苦しい思いをさせてしまうことがあるかもしれない。
そのようなタイプの人はおそらく、人に10割を求めるのでなく5−6割と決め、より多くの人と接することでバランスを取っていくこといいのかもしれない。

真の自分の求めている行為を、決して急がずに、ゆっくりと確実にかなえてあげることが大切なのです。

  • 中略 -

自分を失っている人は、水を飲む時の感覚でさえ、
自分本来のものでない場合が多い。
「喉が渇いたから水を飲まねばならない」といった、目的を持った行為としてしか捉えられない場合が多いからです。

このような無償行為の感覚が抜けていると自分の体験とならないために人生がつまらなくなってしまう。
これを避けるためにはまず、
小さなことでも、ひとつひとつ自分の立場で決断して、実行することがよい。
そうすることで自分に対する信頼感が育ってくるのだ。