とある研究室での一日
今日は10時起床、ちょっと遅くなってしまった。
起きたら急いで着替えて研究室に向かう。
いつもの通り、ポスドクとB4ペアは実験を開始しており、
自分は3番目。
嗚呼。こんな時間では、午前中にしようと思っていた論文読みと英語の学習、
両方共こなすのは無理になってしまった。
ここは論文よみを後回しにして、英語の学習を終わらせよう。
そうこうしているうちに、M1がやってきた。
「ATXのin-plane測定で、0.5分解能スリットの装着方法がわかりません。
教えてください。」
「(来て早々第一声がそれかよ。)
おk。じゃあ必要になったらすぐに呼んで。」
また英語の作業に戻る。
「(いかんいかん、M1が来る前に英語学習は終わらせたかったのに。
しかしあいつ、今日は来るのが早くないか?)」
そんなことを考えながら、やっと英語学習が終了。
「(そろそろ先生から飯の電話がかかってくる時間かな。)」
「トゥルルルル」
案の定電話だ。
M1君が電話に出て応答している。
どうやら先生のようである。
「notieeさん、飯どうします?」
「行きましょう」
今日の昼食には先生の他に中国人のdongさんがいた。
dongさんは姉妹研究室のポスドクである。
"Hi, how was your weekend?"
"hummm, i came to lab."
"Wow, really? U R hard-working.”
そんなこんなで、今日の昼食は楽しい英会話つきだった。
午後からは明日の実験に備えての下準備である。
最近は測定器が混んでいるので、実験の失敗による使用時間の超過は許されない。
しかし実験はある程度の予測をもって臨まないと、
リアルタイムで得られるデータの解釈がつかず、無駄なデータを取得したり、逆に欲しいデータを取りそこねたりと散々な目にあうのである。
そこで、準備のために丁度いい論文を発見、読むことにする。
ほむほむ。
しばらく読んでいて、
論文を最後まで読み終わるか終わらないかの頃に、M1君がやってきた。
どうやら今朝言っていたATXのスリットの件らしい。
「今ちょうどインプレーンアラインメント調整をしているので、教えてもらえませんか?」
「おk。あと3分待って。」
ささっと最後まで論文を読み終え、X線実験室に向かう。
「いやー、昨日も実験をしていたんですが、分解能スリットの設置がどうにもこうにもわからなくて。
結局今日になっちゃいました。」
「そっかそっか。インプレーンはあまりやらないし、忘れちゃうよね。」
そういって、スリットを装着してみせた。
「なるほど。ありがとうございます。」
「いえいえ、どういたしまして。それでは、実験頑張ってね。」
M1君が無事測定できることを願ってX線部屋を出る。
学生部屋に戻ってきて、さっきの論文を手に取る。
今回の論文はいくつか確認しなければならないことがあった。
それをスライドにまとめて整理することにする。
全部で20枚くらい。そこそこの分量になった。
そうしているうちに、M1くんが測定から戻ってきた。
「(そろそろ夕飯の時間かな)」
「区切りがいいところで、飯にいきませんか?」
「行きましょう」
最近、健康な食事をとっている。
ついこの間、風邪っぽい症状がでたのをきっかけに、
肉系の摂取を控え、ご飯に納豆、小鉢等など油分が少ない食事をとりはじめ、
意外といけてしまったので、それにはまってしまったのだ。
正直、揚げ物中心の学食メニューに飽きていたのも原因のひとつだとおもう。
「昨日原宿で大規模なデモが行われていたよ。結構本格的だったなあ」
「そうだったんですか? 何時頃ですか?」
「んー、正確には覚えていないけれど、15−16時くらいじゃなかったかなあ。」
「ああ。その時間なら知らなかったわけですね。」
「ん?昨日渋谷にいたの?」
「はい、いましたよ。ちょっと女のコと飲んでいました。」
「やるなあ。」
そんな会話をしながら食事をし、
生協で飲み物を買ってから部屋に戻る。
「(もう一本論文を読もうか。)」
そう思っていると、ポスドクが話しかけてきた。
「4155Cでの測定、GPIBが通信エラーになるんだけれど、前回使ったときそんなようなことおきてた?」
「はい、おきていました。しかし、接続コネクターに問題があるのだと思います。
前回はPC側のコネクターを別のポートに挿すと動きました。」
「今回はそれを試したけれど、ダメなんだ」
「そうですか、では他のPCで測定してみてはどうでしょう」
「それはやってみるべきかもしれない。ちょっと手伝ってくれるか」
「はい」
サブの測定用のPCにドライバをダウンロード、インストールし、
測定プログラムを移植する。
それを用いて測定をしてみると、うまくいった。
「どうやらメインの測定用PCに原因があったようですね。」
「そうだね。細かい原因特定はあとにして今は測定を続けるとするよ。」
「そうですね。測定がんばってください」
部屋に戻る。
よし、とりあえずもう一本論文を読んで帰宅をしよう。
以上、とある研究室での1日でした。
人生は退屈すれば長く、充実すれば短い。 シラー