人間関係本の決定版 - 本のメモ - 人を動かす

人を動かす

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

本書は人間関係本の名著とされる本である。
社会で成功をおさめるためには人間関係は切っても切り離せません。むしろ、これが成功の可否に最も大きな影響を及ぼすといってもいいのではないでしょうか。
実際、経営者の自伝なんかを読むと、このカーネギー本と似たようなことを自身の哲学としている方が多いことに気づきます。

まあ、もちろん”人間関係”なわけですからすべて経験論的な話です。
すべての人に当てはまるわけではなく、都度、カスタマイズする必要があるでしょうし、
人間慣れますから、慣れ-> 飽きて満足するとなるために現代人に適用しにくい部分もあるでしょう。

しかし、ここまで広範囲にわたって徹底的に調査しまとめた本は価値があります。
自分の頭の中の分類としては、ビジョナリーカンパニーのような感じでしょうか。
誠実に受け入れるべき本だと思います。

まず、目次を引用させてもらいます。

人を動かす3原則
1 盗人にも五分の理を認める
2 重要感をもたせる
3 人の立場に身を置く

人に好かれる6原則
1 誠実な関心を寄せる
2 笑顔を忘れない
3 名前を覚える
4 聞き手にまわる
5 関心のありかを見抜く
6 心からほめる

人を説得する12原則
1 議論をさける
2 誤りを指摘しない
3 誤りを認める
4 おだやかに話す
5 ”イエス”と答えられる問題を選ぶ
6 しゃべらせる
7 思いつかせる
8 人の身になる
9 同情を持つ
10 美しい心情に呼びかける
11 演出を考える
12 対抗意識を刺激する

人を変える9原則
1 まず褒める
2 遠まわしに注意を与える
3 自分のあやまちを話す
4 命令をしない
5 顔をつぶさない
6 わずかなことでも褒める
7 期待をかける
8 激励する
9 喜んで協力させる

幸福な家庭をつくる7原則
1 口やかましくいわない
2 長所を認める
3 あら探しをしない
4 ほめる
5 ささやかな心づくしを怠らない
6 礼儀を守る
7 正しい性の知識をもつ

内容が濃い目なので、メモは目次に沿って行なっていくことにします。
まずは人を動かす3原則から。

人を動かす3原則
1 盗人にも五分の理を認める
他人のあら探しは役に立たない。相手はすぐさま防御し、自分を正当化し、さらに悪いことに反抗心を起こすことになる。
我々は他人からの賞賛を強く望んでいる。それと同じくらいの強さで他人からの非難を恐れている。
人間は論理の動物ではなく、感情の動物なり。
神でさえ、人を裁くのに死後まで待つ。

2 重要感をもたせる
相手の所望するものを与え、みずから動きたくなる気持ちを起こすこと。
誠実な評価を与える

3 人の立場に身を置く
相手の望むものを与え、強い欲望を起こさせる

次は人に好かれる6原則。

人に好かれる6原則
1 誠実な関心を寄せる
単に人を感服させてその関心を呼ぼうとするだけでは、決して真の友を多く作ることはできない。
こちらが関心を示せば、どんな忙しい人も時間を割いてくれたり、協力してくれたりする。
必ず心からの関心を寄せるべきで、また、関心を示された相手にも利益を生まねばならない。

2 笑顔を忘れない
シェイクスピアの言葉:物事には、本来、善悪はない。ただわれわれの考え方いかんで善とも悪とも分かれる。
無理にでも笑顔にすることで、お互い善行している気分になり、円滑化する。

3 名前を覚える
人間は他人の名前などにはいっこうに気にとめないが、自分の名前には大いに関心を示す。
名前は当人にとってももっとも快い、もっとも大切な響きを持つ言葉である。

4 聞き手にまわる

5 関心のありかを見抜く
人の心を捉える近道は、相手がもっとも関心を持っていることを話題に出すこと。
どんな相手と話してもそのたびに自分自身の人生がひろがるのでこちらの利益にもなる。

6 心からほめる
人は誰でも他人より何らかの点ですぐれていると思っている。
だから、相手の心を確実に手に入れる方法は、相手が自分なりに世界で重要な人物であることを素直に認め、そのことを相手に悟らせる。
人と話すときはその人自身のことを話題にする。心から感心し、相手に重要感をもたせる。

そして、人を説得する12原則。

人を説得する12原則
1 議論をさける
議論で打ち負かしても相手の意見は変わらない。
理論闘争の勝利か、相手の好意を勝ち取るか
誤解は議論ではなく、気転、外交性、慰め、いたわり、同情によって初めてとける
意見の不一致を歓迎せよ。二人いて同意見ならばどちらかはいらない人間
意見の衝突が起きたら、まず賛成できるところを探す。
自分が誤っているところは真摯に認め、あやまる
相手が反対意見を述べてきたら喜べ!相手はその話題に対して関心を持っている証拠。
ふたりのうちどちらかが怒鳴り始めたらもう一方は反論せずに聞くこと。

2 誤りを指摘しない
相手が間違っていると思っても、「おそらく私の間違いなのでしょう。私はよく間違います。ひとつ事実を考えてみましょう」。
理屈どおりに動く人間は滅多にいない。大抵の人は偏見、先入観、猜疑心、恐怖心、ねたみ、自負心などに蝕まれている。
我々は自分の意見を自分で否定することは簡単、しかし相手にそれをされるととたんに難しくなる。

3 誤りを認める
指摘されたら、まず自分の誤りを素直に認める。先方が絶対に正しく、自分が絶対に間違いであることを認めるのだ。それによって相手に自己重要感を与えることに成功する。
実際、自分が間違っていることは驚くほど多いのだしね。

4 おだやかに話す
抗議するとき、その心は反抗と憎悪に満ちているかもしれない。しかし、そのままでは必ず衝突する。
優しい打ち解けた態度で先ずは相手を褒めるところから始める。
相手は決して悪くないが、たまたま間違ってしまった、と思うこと。

5 ”イエス”と答えられる問題を選ぶ
相手にいったん”ノー”と言わせると、それを引っ込ませるのは大変。
相手はそれを引っ込めるのは自尊心が損なわれるから嫌がるし、自分に暗示をかけてしまうこともありうる。
互いに同一の目的にむかって努力しているのだと相手に理解してもらい、その方法だけが違うということをまずわからせる。
だから、最初は”イエス”と言わせておく。そうすれば心理的にも肯定的な気分になりやすい。
そのためにはまずは相手の希望について話す。

6 しゃべらせる
7 思いつかせる
人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、われわれははるかに大切にする。
暗示を与えて、結論は相手に出させる。

8 人の身になる
相手の考え、行動には、相当の理由があるはず。その理由を探しだす。
さすれば相手の行動、性格に対する鍵を握れる。
相手の主張を聞いてみて、”?”だったら、なぜそう思うのか聞いてみる。その中に自分にも共感できるところを見つけ出し同意する。そしてちゃんとお礼をいう。
他人に何か頼もうとするときは、”そうすれば相手がそれをしたくなるのか”考えてみよう!

9 同情を持つ
「あなたがそう思うのはごもっともです。わたしも同じ立場ならそう思います。」
相手に詫びて同情すると、相手も同情してくれる。相手をやっつけるより、好かれる方がよっぽど愉快。
人は同情を求めている。

10 美しい心情に呼びかける
通常人間の行為にはふたつの理由がある。ひとつはいかにも美しく潤色された理由、もうひとつは真実の理由。
人をごまかすような人間でも、相手に心から信頼され、正直で公正な人物として扱われると、なかなか不正なことはしない。

11 演出を考える
見せ方によって、同じものでも人は動く。

12 対抗意識を刺激する
仕事には競争心が大切。他人よりも優れたいという競争心を利用するといい。
成功者はみんなゲーム好き。自己表現の機会が与えられるから。腕を存分に奮って相手に打ち勝つ機会。
人の優位を占めたい欲求を刺激する。

最後に、人を変える9原則。

人を変える9原則
1 まず褒める
2 遠まわしに注意を与える
「ジョニー、お父さんもお母さんも、お前の今学期の成績が上がって本当に鼻が高いよ。”そして”、来学期も同じように同じように勉強を続ければ、代数だって他の科目と同じように成績が上がると思うよ。」

3 自分のあやまちを話す
人に小言を言う時は、謙虚な態度で自分は決して完璧でなく、失敗も多いがと前置きしてから注意せよ。相手の不快度が減る。

4 命令をしない
命令でなく、暗示を。
「こう考えてはどうだろう」「これでうまくいくだろうか」と尋ねて相手に言わせる。

5 顔をつぶさない
相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪です。
自分が相手を評価するのでなく、相手が自分をどう評価するか。

6 わずかなことでも褒める
人を変えようとして、相手の心のなかにかくされた宝物の存在に気づかせることができたら、単に人を変えるだけでなく、別人を誕生させられる。
我々の持つ可能性に比べると、現実のわれわれはまだその半分にも達していない。
我々は肉体的、精神的資質のごく一部しか活用していない。
人間は自分の限界よりもずっと狭い範囲内でしか生きておらず、いろいろな能力を使いこなせないままに放置している。

7 期待をかける
相手に自信をもたせる。
相手に美点を発揮させたければ、相手がそれを備えていることにし、公然とそのように扱ってやる。
そうすると相手は頑張る。

8 激励する
大いに元気づけ、やってみれば簡単にできると信じこませる。
相手の能力を信じているよ、と言ってやる。
相手は自分の優秀さを示そうと頑張る。
まずはやさしい問題を解かせ、簡単じゃないかと思わせ自信をつけさせる。

9 喜んで協力させる

人を変える必要性を感じたら。
1.誠実であれ。守れない約束はしない。相手の利益だけを考えよ。
2.相手に期待する協力は何か。目標はしっかり把握しておく
3.相手の身になれ。相手が所望するものは?これを与えてやる。
4.私に協力すると、相手にはどんなメリットがあるか?
5.相手には望みどおりの利益を与える。
6.人にものを頼むときは、それが相手のメリットにもなることをほのめかせ。

おまけとして、幸福な家庭をつくる7原則。
実は結構しっかりとしていて、これから家庭をもつ友人などにも読ませてあげたい。

幸福な家庭をつくる7原則
1 口やかましくいわない

2 長所を認める
お互いが自信を持っていることを正しく認識し、それに対してとやかく言わない、侵入しない。きちんと認める。

3 あら探しをしない

4 ほめる
女性は服装に関して驚くべき関心を持っている。それを褒める。
女性が夫によって幸福を与えられるとするならば、その幸福は、夫の賞賛と愛情意外のどこにもない。
その賞賛と愛情が真実のものであれば、それによって夫の幸福も保証される。

5 ささやかな心づくしを怠らない
ささいなプレゼントをしてみる。相手に、こちらの心づかいを知らせればそれでよい。
家庭不和の原因の大部分は極めて些細なこと。夫が出勤の際、妻が手を振って見送るだけで離婚率は大幅に減少する。
逆もまたしかり。

6 礼儀を守る
無作法は愛情を破壊する癌である。
他人のメールを勝手に見たりしないのに、一番近しい、そしてたいせつな家族に対しては、ささいなあらを探し、失礼なことを平気でする。
どんなに不愉快な気分に陥っても家族にだけはそれを見せるべきではないのだ。不愉快な気分は自分だけでたくさんだ。
百万の富をつくるよりも、優しい妻と平和で幸福な家庭を築くほうが、男にとってははるかに意義のあることだが、家庭円満のために真剣な努力を傾ける男は百人に一人もいない。人生で最も重要なことを、成り行きに任せている。
妻に対しては、強圧的な態度をとるよりも、やさしい態度を示すほうが有効なのに、男はなぜ後者を選ばないのか。女には理解出来ない。

7 正しい性の知識をもつ

以上になります。結構なボリュームです。

もちろんこれらの原則をいちいち人間と接するときに見返す時間はありません。
しっくり来るものから時間をかけて少しずつ実践していき、意識せずともできるようにしていく必要がありそうです。

本読んで理解して(知識)、時間をかけて身につけていく(実行)。
実行のほうがはるかに時間がかかります。。

のし。